荒鷹はBOØWY時代の曲しか知りません。
当記事の表現で不快に思った方はあらかじめこの場をお借りして謝罪致します。
君は氷室京介を知ってるだろうか。
1981年に結成し、1987年嵐のように去っていたロックバンドBOØWYのボーカリストであり、現在もソロとして多くの人を魅了し続ける日本を代表するロックボーカリストの一人である。
「ライブハウス武道館へようこそ!!!」
で有名だね。
「ここは東京だぜ??……オーケィ笑」
はあんまり有名じゃないね。
氷室京介のライブ活動引退
その氷室京介が2016年の最後の4大ドームツアーを機にライブワークから引退をすることを発表した。
実は2年前の2014年の『25th Anniversary TOUR GREATEST ANTHOLOGY -NAKED- FINAL DESTINATION』ツアーの際にすでに引退を発表していたのだが、リハーサル中に転んで肋骨を折ってしまうというお茶目さを披露。満足のいく形で演奏ができなかったため、リベンジライブとして今回のライブを開催した経緯がある。
この2015年のライブは荒鷹は行っていないのだが(横浜スタジアムだから超地元だったのに…)、友人によると当日は大雨に落雷で一時中断、ライブの短縮といろいろ大変だったらしい。ヒムロックもお茶目で転んだわけではなく濡れたステージに足をすくわれたのだ。
引退の理由がストイック
引退の理由は耳の不調。右耳が数年前から聞きづらくなっており、聞き耳の左耳もあるトーンになると聞こえないと本人が明かした。
ライブ嫌いの荒鷹だけれど氷室京介のライブだけは過去にも何回か行ったことがあり、ライブ中、何度もヒムロックがイヤモニを気にしているのが印象的だった。他の人のライブにそこまで見に行ったことがないのだが、これほどまでにイヤモニを意識しているボーカリストも珍しいなと思っていたんだけれど耳の不調のことを聞くとそれもうなづける。
ヒムロックはライブ中、絶対音を外さない。メロディラインが安定してるんだよね。だから客もみんな歌いやすい。ここに関してはソロになってから徹底している気がする。ボーカリストとして本当にこれはプロだと思う。だからこそ、イヤモニを常に意識しているヒムロックがいて、そして耳の不調。それはイコール、お金を出して聞いてくれるお客さんに失礼にあたるということで引退に至ったのだろう。
ヒムロックのロック魂を受け継ぐために…
そんな氷室京介が今年2016年にリベンジライブを行う。そしてこれを最後にライブから引退する。ここから並々ならぬ強い意志を感じ取った荒鷹はこれはなんとしてでも行かなくてはいけないとe+チケットに応募したのであった。
e+の会員登録に手こずりながらも、東京ドーム公演 5/21と最終公演日である5/23の2日に応募した。数打ちゃ当たる戦法だ。
そしたら……
どちらも当たっちゃった
実はヒムロックの曲は全く知らない
当の荒鷹はヒムロックのソロについてはあまり詳しくない。
どちらかといえば前述のBOØWYのファンなのだが、それでもBOØWY時代もソロ時代も世代が違うためリアルタイムで聞いてきたわけではない。だから荒鷹にはリアルタイムのファンの気持ちを知ることも共有することもできない。
じゃあ記事にするなよ。と言われればそれまでなのだが、氷室京介という男のそのストイックな姿勢と生き様にアツさを感じざるをえない。荒鷹はなんだか分からないアツさを持った人間が好きだ。そして氷室京介は間違いなくそっち側の人間だ。だから今日はこの先、LAST GIGSレポート、好き勝手語らせてもらう。
KYOSUKE HIMURO LAST GIGS 5.23最終日レポート
5月23日月曜日。
無理を言って出勤時間をずらしてもらい、17時に関内を出た荒鷹はそのまま関内駅まで走った。途中、トイレで予め友人に借りておいたライブタンクトップに着替える。
これは先ほども話した2014年の横浜スタジアムでのライブ時に配られたタンクトップらしいが…
おい、ダセーよ。これ。
タンクトップ白とか『山下清物語』かよ!!
「ぼ、ぼくは、お、おにぎりが食べたいんだな…」
ってやかましいわっ。
そんなやりとりを妄想している間にも刻々と時間は過ぎていく。開演は18時。おにぎりを食べている場合じゃない。
前置きが長い男は嫌われるよ??
17時15分 とにかく関内からJRに乗って横浜へ。
裸の大将をパーカーで隠しつつも左手には氷室のラストギグリストバンドを装着し、そこはかとなく向かいに同乗してるJKに見せつける。
しかし、リストバンドが白い上に思ったよりも大きくて、怪我をしたんじゃないのかと心配そうな目で見つめてくるJK。(キミとは学生時代に出逢いたかったぞ)
17時20分 横浜に到着。
そのまま階段をSWAT仕込みの斜め45度半身で下り、隣の東海道線ホームへ。上がるときは普通。
17時25分 小金井行きに乗って東京へ。
ここからはしばらく電車に乗っていなくてはいけないのでドア側の隅に寄っかかりながらチケットの準備。
今ってチケットもスマホ上でやるのね。
ダウンロードしてQRコードを会場で読み込んでもらうシステムなんだと。チケットの転売防止だろうねこりゃ。
でもケータイの充電切れたらどうすんのかね??
関内から息も絶え絶え大急ぎでここまで来た。だんだんと心も落ち着いてきたところで、車窓から日の長さを感じさせる西日が入ってきた。その斜陽を左頬に感じながら、ヒムロックの最後のロック魂を見届けようと心に決めた。そしたら緊張してきた。自分がギグるわけじゃないのに。
緊張するとなにかしてないと気が済まないタイプなので、普段は決してつぶやかないツイッターで呟いた。
目ん玉と耳の穴かっぽじって、ヒムロックの最期のロック魂、受け継ぎにいくぜ!!!! pic.twitter.com/Wtt4a3JATE
— 荒鷹嶺犬 (@aratakarayken) 2016年5月23日
ヒムロックのリストバンドはやっぱり長い気がする。手の甲を返せば包帯丸出しだ。
ちなみにこのとき、向かいのOLに盗撮してると思われ、めっちゃ睨まれて一悶着あったのはスピンオフ。
ここから、連投ツイートを行う。緊張荒鷹。
Liargirl
Longer than forever
On my beat
Image down
Just a hero
季節が君だけを変える
ホンキートンキーどれか1つでも今日やってくれたら俺の下半期は必ずいいものになる!!
— 荒鷹嶺犬 (@aratakarayken) 2016年5月23日
この中のどれ1つもやっていないという事実を今思い出す。俺の下半期は……どうなる??
17時50分 東京駅着。
そのまま丸の内線までダッシュ。ここらへんから「ダッシュしてるサラリーマンは全員ラストギグに行く人だ」というよくわからない仲間意識が芽生えだす。
17時56分 池袋行きに乗って後楽園へ。
時刻表を見て、これはそもそも間に合わないんではないかという事実に初めて気づく。
18時04分 ついに後楽園到着。
開演時間が延びていることを期待してダッシュ!ダッシュ!ダンダンダダン♪
後楽園駅から一番近い20番ゲートでスタッフのお兄さんがメガホンで叫んでいる。
「とにかくここまで来たら入らなきゃ意味がありません!!ここからでも入れますよ!!」
なんて優しいスタッフさんだ。
だが断る。
これは孔明の罠だ。直観的にそう思った。
「男は黙って正面ゲートだ!!」
走る荒鷹。日が暮れる東京ドーム。かすかに聞こえてくる大歓声。
やべえ、間に合わねえ!!
写真撮ってる場合じゃねえーーーー pic.twitter.com/EWGs08jElO— 荒鷹嶺犬 (@aratakarayken) 2016年5月23日
なぜ撮った!?
お前は2日前にも同じ場所。同じ角度で同じ写真をツイートしてるぞ。
震える手で、予め、ダウンロードしておいたQRコードをスタッフに読み込ませ、正面ゲート回転扉に入る。
気圧の変化で耳がやられる。
すぐに近くにいたスタッフの大学生くらいの女の子にチケットを見せて、息も絶え絶え席までのルートを教えてもらう。
「あっ外野ライト席ですね。ここからビューって行ってもらって、階段がありますからスーって降りてもらって左にカクッです♪」
ミスターかお前は。
とにかく女の子の言う通り、俺は走った。とにかく走った。走れ、ガンプ。
肺に空気を送り込む。時折、ちらつく裸の大将。されど、なかなかライト席は見えてこない。
左耳に聞こえるは全員大合唱の「Dreamin’ 」
『Dreamin’ !!アスファルゥト泥だらけのクーツあふれぇぇ!!』
何重にも押し寄せる声の壁と熱狂に荒鷹の心臓は口から飛び出しそうだ。興奮と息切れでアドレナリンが脳に分泌されていくのが分かる。
前方に階段が見えた!!あと……あとちょっとだ。
そのときだった。
荒鷹は見てしまったのだ。
ライト席直前の階段脇すぐ手前にある20番ゲートの入り口とメガホンを持つ諸葛亮孔明を。
『ゾンナ奴らは好ぎじゃない!!俺はゾンナにバカじゃなァイ!!』
俺は汗なのか涙なのか鼻水なのか分からないものをまき散らし、ライト席脇で走りながら「Dreamin’」を誰よりも熱唱していた。
ここからが本当のラストギグレポート
「Dreamin’」の曲終わりからスタッフに案内され、席に着く。ライト側は全員が全員総立ちだ。いや、ライト側だけじゃない。レフト側。内野。アリーナ。全員が総立ちで腕を掲げている。あたりを見回したが、裸の大将コスプレは俺だけだ。
この2日前にも見に行っているがそのときももちろん全員が総立ち。
でも今日は違う。本当に全員が叫んでいる。観客が一体となっている。
奇跡的にライト側といってもステージは見える位置だ。下手をすると内野側よりも見やすいし演者が近い。これは素直に嬉しかった。
やっぱりBOØWY曲は盛り上がる
「RUNAWAY TRAIN」「BLUE VACATION」「TO THE HIGHWAY」「BABY ACTION」と続けざまにBOØWY時代の曲が繰り広げられる。
2日前は内野側上段の方だった。だから氷室の声や演奏がドームに反響してて正直聞きづらかった。
MCなんか氷室はもともとなに言ってるか分からないのに反響して本気で分からない。「DAITA!!」しか分からない。
とりあえず「YEAH!!」と叫ぶ。でも今日は方向的には斜めになるがステージに近い。演奏と氷室の声がちゃんと聞こえる。
そしたら、声がよく出てることに気づいた。氷室はもともと顎を固めて絞り出すように声を出す。この歌い方が好きなのだが、今回のライブの氷室はしっかり腹から声を出していて身体が柔らかい。ベストコンディションだ。このリベンジライブに向けて相当トレーニングを積んだのだろう。首回りの筋肉がそれを物語る。
前回の「21st Century Boøwys Vs Himuro」のときよりもBOØWYの曲が力強い。
それが鍛錬によるものか最終日であるからかどうかは分からないが観客も荒鷹もボルテージは最高潮だ。氷室の強い意志がバンドを観客を飲み込み、そしてそれに応えている。
「BLUE VACATION」では後ろの恐らくBOØWY世代のおっさんたちと大合唱だ。「TO THE HIGHWAY」のサビでは客がキレイに氷室の歌にハモってる。荒鷹も大好きな「BABY ACTION」ではリフで布袋ステップを踏もうと思って左右の客にぶつかり足を踏み外し挫く。しかし痛みも忘れ、その場にいるおっさんたちと
『もやさもやさもやさベイベー!!!』
もうなにがなんだか分からない。ドーム全体がヒムロックハイだ。
ラストギグの曲順について
氷室のライブの特徴としてプログラムにバラードをまとめてくる。いわゆるバラードパートだ。もともとバラードは嫌いだし、知らない曲だし、氷室はそれをまとめてくるから退屈になると思っていたけれど「WELCOME TO THE TWILIGHT」「LOVER’S DAY」からの「CLOUDY HEART」はよかった。まあ、2つはBOØWYなんだけれど……この3曲はヒムロックの中でも特に思い入れの強い曲のはず。だから感動した。
2日前は席が遠かったのもあるんだが、なによりセットリストがよくなかった。順番ね。氷室ソロの曲が来たかと思えば、次はBOØWYの曲。って感じでこちら側も予想もできない曲順で、正直消化不良だった。最終日はしっかりまとめてきた。氷室自身が歌いやすいセットリストがあるんだろうけれどもしっかり進行をお客目線でやってくれたことに感謝。
最高の盛り上がりは「デブデー!!」
客層はやはり40代から60代が多い。しかもおっさんたち、みんな怖い。女性も「若いころレディースやってました。ヨロシク」みたいな人ばっか。東京ドームの喫煙所は小学校の頃にやった防災訓練のテントみたいにケムリで前が見えない。タバコ忘れてもニコチン摂取OK。
氷室のリアルタイムファンはBOØWYはもちろんのことソロの曲も知ってる。でも今回は荒鷹みたいにBOØWYの頃のファンもいる。
だからこそ、BOØWYの曲になると何万という声の壁がドームを包み込む。
「ONLY YOU」「BEAT SWEET」「PLASTIC BOMB」みんな大合唱。ドームが揺れる。ヒムロックももうイヤモニなんか気にしていない。それが客をさらに喜ばせる。DAITAのソロに荒鷹叫ぶ。
そしてこの日の一番の盛り上がりは「RENDEZ-VOUZ」
『デブデー!!グッボーイ!!チェンジィィン!!シスターボーイ!!』
氷室はこの曲のようなシャッフル??ブギ??みたいなビートが上手い。布袋のセンスがあるからこそなんだけれどもやっぱり氷室が歌わなくちゃダメだ。
去り際の美学
その後も、「ANGEL」「NO.N.Y.」「KISS ME」「SUMMER GAME」と盛り上がる曲を歌い続け、3回目のアンコール。氷室が感謝の念をMCに込める。そこに悲しみとか惜しみはない。
最期は「B・BLUE」
いろいろなところで書かれているが、BOØWYのLAST GIGSではオープニング曲として。そして氷室京介のLAST GIGSではエンド曲として。東京ドーム中がB・BLUEに染まる。
『On The Wing With Broken Heart もう一度笑ってよ To The Boys & Girls』
氷室がイヤモニをとり、力いっぱい最後の語尾を上げて歌った。それも2回とも。これに場内は大歓声。最期の最後で氷室京介はB・BLUEをさらに進化させてくれた。
そして、氷室京介は余韻を残さず、ステージから去った。
その背中に今まで何度ライブに行っても恥ずかしくて言えなかった言葉が自然に出た。
「氷室ォォォォーー!!!」
ありがとうヒムロック
「KYOSUKE HIMURO LAST GIGS」ホントに行けてよかった。
それはBOØWYの曲を聞けたからだけではない。
自分よりも一回りも二回りも上の年代のコワいおっさんやおばちゃんがみんな笑ったり泣いたりして、汗かきながら子供みたいに必死に叫んでるその姿を見ることができたからだ。
荒鷹嶺犬の目指す道はここにある。
【今日のマキシム】
びっびっびっびおんまいびー♪