みんなはゲームセンターって最近行ってるかな??

僕は学生の頃、まだ妖怪ではなかったわけだけれど、ゲーセンにいくことは年に数回くらいしかなかった。

あの暗い空間はなんだか好きなんだけれど、やっぱり音がうるさいし、空気もこもってるから、ずっとはいられない。

あと、雑誌とか立ち読みできない妖怪なので、ゲームもやっぱり外よりも家で集中したい妖怪なのだ。それがゲーセンにハマらなかった要因なのかもしれない。

そういえば、最近、久々にゲーセンに行ってみたんだけど、メダルゲーにちょっとハマりかけた自分がいた。でも1時間くらいして、自分が何しているのかよくわからなくなって、さらにコインで手が真っ黒になっていることに気づいて早々と退散した。悪霊退散。

そんなゲーセンだけど、カラオケと同じように空気がこもりやすいからなのか、オカルトの匂いもそこはかとなくやってくる。

都内某ゲーセンでの怪異

これは、ある女性に聞いた話。

彼女は学生の頃、ゲームセンターでアルバイトをしていたらしい。

そのゲームセンターってのが、結構大型なものらしく、ビル1つがゲームセンターになっているものだったそうだ。最近は小さなゲーセンってのもあまりなくなったから、ビル一個がゲーセンってのも珍しくないらしいね。

そんで、そのゲーセンは1階がUFOキャッチャー、プリクラなど若者やカップル用のスペースで、2階はメダルゲームエリア。さらに3階はガンゲーなどのビデオゲームエリア。4階5階は音ゲーや格ゲー、競馬など常連御用達のエリアになっていた。

5階建てということで、正面玄関にはエレベーターが設置されており、お客さんたちはそのエレベーターを使っていたんだ。

で、もう一つエレベーターがあった。

そのエレベーターは入り口とは逆側のエリア奥トイレ横に設置されていて、こちらは正面玄関エレベーターよりも小さめのエレベーターだった。利用者もそこまで多くないからね。

もうひとりの乗客

彼女は学生ながらも2年以上、アルバイトとして勤務をしていたこともあり、エリアマネージャーのような役職についていたんだって。

なので、営業時間が23時をすぎると最後の筐体チェックなどで一番上の階から下へと回っていくのが彼女の最後の仕事だったらしい。

その日、いつものように彼女は営業終了が近くなると、彼女は5階からチェックをしていった。
5階には自分以外には従業員はいなくて、最後のお客さんが出て行くところだった。

 

5階のチェックが終わる。

 

そのままいつものように4階のチェックにエリア奥のエレベーターに乗り込み、4階のスイッチを押して、閉ボタンを押す。

エリア奥のエレベーターは小さいながらも、セキュリティのために監視カメラが搭載されており、監視カメラの映像がボタン上に映し出されているタイプのものだった。

 

ドアが閉まったあと、ふと、その目線が映像に行った。

不鮮明ながらもエレベーターの白い蛍光の中、自分の後ろ姿が見える。

 

いや、そこにはもう一人いた。

 

ボタンの前に立っている自分の真後ろに髪の長い女性の背中が写っているのだ。

 

その瞬間、今までなかった気配を後ろにずん、と感じる。

 

確かにエレベーターに乗る時は誰もいなかったはずなのに、監視カメラにはもうひとりの乗客が写っている。

監視カメラには女の背中が写っている。つまり、自分を見つめているのだ。
いやな気配がさらに大きくなる。全身の毛穴が開く。

エレベーターが動き出す。
なんとかしたいけれど、この小さな閉鎖空間の中ではどうしようもできない。

監視カメラの映像から目を離せない。

不鮮明な映像に映る女の後ろ姿は動く気配がない。

『早く4階につけ……!!』

心からそう思った。たかが1階。
いつもならため息を一つつくだけの時間が今日は永遠に思えた。

 

ポン。

 

エレベーターが4階に到着した。

ほっとした。

 

その瞬間、監視カメラに映る女がズっーと一歩前に踏み出してきた。

 

「ぎゃあああああ!!!!」

 

エレベーターの扉が開くとともに彼女は悲鳴をあげながら飛び出した。

 

 

 

その話を聞いたとき、僕は「監視カメラに自分が写っている状況って怖いよねー」と切り出した。

すると、彼女は「それより怖かったのが、最後に前に一歩踏み出してきた感触や振動がしっかりあったことなんだよ」と話していた。

いやーん。怖い。