大学キャンパスのエレベーター

LINEで送る
Pocket

久々の更新でいきなり、怖い話を書く。そんな妖怪です。

さてさて、今回の話は、エレベーターにまつわる話。

エレベーターにまつわる怖い話って僕の周りでも結構よく聞くんだけれども……

あれって怖いよね。なんで怖いのかな??

やっぱり閉鎖空間だからかね。逃げようと思っても逃げられないっていう異常事態だもんね。
アラタカはさ、幽霊なんかよりも何よりもセミが怖いわけで、夏にセミと一緒にエレベーターに乗った時はもうサブイボ立ちまくったもんね( ;´Д`)

息を潜めて、セミを背にしてエレベーターが到着するのを必死に待っていた思い出があるなあ。。。
そういう時に限って、なかなかつかないんだよね。人間の体感時間ってのは面白いよね。

ああ、アラタカは人間の気持ちはわからないよ??この体は仮の体だからね。

さて、前置きはこれくらいにして本題に行こうか。

あと、エレベーターって目的地に止まる時、若干揺れるんだよね。セミが暴れ出したから肌で覚えてる……

12号館のエレベーター

これは友達に聞いた話。

彼がまだ大学生だった頃の話だ。

彼は芸術系の若者で都心から離れた緑豊かで大きな敷地が確保できる芸術系大学に通っていた。
今ではどんどん少なくなっているけれど、その大学はいわゆる敷地の中にたくさんの建物があるキャンパス型だった。

大学にもだいぶ慣れてきた1年生の秋の頃。彼はキャンパスに通る女学生たちの長袖のブラウスを見ながら移りゆく季節をそこはかとなく感じ取っていた。

新学期は大学に慣れるために、友達になるか知り合いになるか線引きをする必死な季節だが、今は9月。彼は元来、一人でいるのが好きなタイプなので、昼食も一人でとっていた。

そう、最近いい場所を見つけたのだ。

それが、割と新しく作られた10号館。

ここはキャンパスの奥の方にあって、教室もそこまで多くないこじんまりとした建物だ。
使われるのも語学系の授業のみだから、午後も空いていることが多い。そして、何より、トイレが綺麗で新築の匂いが心地よい。

昼休みに使う人も少ないこの穴場を彼は好んで利用していた。

彼は大学生協で購入したパンと紙パックコーヒーを飲みながら、これまた大好きな小説を読んでいた。
いかにも美大生という感じがしておいらは好きじゃないが。。。

今日は午前の講義が終わったら、あとは夕方から始まる5限の講義だけだった。

『今日はゆっくりと好きな時間を過ごすことができる』

彼はそう思いながら、心地よい温度を肌で感じ取っていた。

 

……気づくと、いつの間にか、彼は眠っていた。

起きるとすでに時刻は17時半を回っている。季節的にもいかにも夕方というような夕日が眩しい。

「5限に行かなくちゃ!!」

彼は次の講義の教室を手帳で調べると、小説をカバンにしまい、教室を出た。

教室は5階建ての4階。

『階段で行こうかな』

……そう思ったが、ちょうど踊り場のエレベーターが今いる4階で止まっていた。

 

エレベーターというやつは乗ったことのある方ならわかると思うが、誰も乗っていないで時間が経つと、消灯するようになっている。

最近のエレベーターは外側に窓がついているタイプが多いので、外から見ていても消灯しているのがわかった。

『なんだ、自分が昼休みに使ってから、誰も使わなかったのか……』

本当に穴場なんだな、そう思いながら彼はエレベーターのスイッチを押した。

エレベーターの電気がつく。

 

そこには先客がいた。

 

長い黒紙で白いブラウスにスカートを履いた女が背中を向けてエレベーターに乗っていたのだ。

 

「え……」

 

彼は驚くというより思考が止まった。

そして、なんで!?と思うより先にエレベーターに乗ってしまったのだ。

 

 

こちらに背中を向けている女。後ろ姿はいかにも芸術系の女子大生と行った感じだ。

彼は1階のボタンを押して、閉ボタンを押し、ドア側を向いた。

エレベーターが動き出す。

 

『いやいや待て待て、なんで消灯しているエレベーターに人がのってるんだよ!!おかしいだろ!?
しかも、4階に止まっている間ずっとそこで待ってたのかよ……!?』

そう思っていると一気に怖くなった。

 

今、この小さな箱の中、背中合わせに不気味な女と二人きり。

 

彼は頭がパニックになりながらも相手に気取られないようにできるだけ平静を装って、気づいていないふりをした。

『早く1階につけ!!』

彼は心からそう願った。しかし、まだ3階を過ぎたところ。

前を向きながら、彼は全神経を後ろの女に向けていた。確かにそこには人間の女の気配がある。
しかし、そいつは全く動く気配がない。

 

それが怖い。とてつもなく怖い。

 

2階の踊り場がエレベーターの窓から見える。その時、その踊り場に女が立っていて、こっちを見ていたりしたもんなら彼は失神していたに違いない。

2階の踊り場にあるのはただガランとした空気と向こうに続く廊下。そしてこんな状況には似つかわしくない綺麗な斜陽だけだった。

 

1階についた。エレベーターがゆっくりと開く。

そこでいきなり走ったりしないよう、彼はできるだけゆっくりエレベーターを降りた。最後まで後ろへの警戒を忘れずに。

1階の踊り場にももちろん人はいない。彼は玄関へ続く廊下を歩いた。

そして、玄関の自動ドアが開き、安全圏に来たところで彼は後ろを見てしまった。

 

 

そいつは幽霊なんかじゃなかった。
まだ背中を向いたまま、エレベーターの中で確かに背中をこちらに向けているのだ。

 

後ろ前反対のブラウスを着たまま。

LINEで送る
Pocket

SNSでもご購読できます。